日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ種子油脂合成遺伝子の発現活性化に関わるDREBサブファミリー転写因子
河合 都妙*伊藤 節嗣松本 貴之前尾 健一郎中村 研三
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p. 0614

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抄録
シロイヌナズナの種子成熟過程において、葉緑体で合成された脂肪酸を用いた小胞体でのトリアシルグリセロール(TAG)の合成に関わるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)をはじめとする酵素の遺伝子は、脂肪酸合成系遺伝子群よりも後期に強く発現する。種子成熟後期にDGAT1と類似の遺伝子発現パターンを示すDREBサブファミリーに属するAP2/ERF型転写因子A2は、プロトプラストでの一過性発現系においてDGAT1プロモーターを活性化する。DGAT1プロモーターにはDRE配列が存在し、一過性発現系でのA2によるDGAT1p:LUCの活性化は、DRE配列への変異導入で失われ、組換えA2タンパク質はDRE配列へのDNA結合活性を示した。A2遺伝子のT-DNA挿入破壊株では、果実でのDGAT1 mRNAは野生型株に比べ低下したが、種子TAG含量に野生型株とA2破壊株の間で大きな違いはなかった。また、A2近縁遺伝子のT-DNA挿入破壊株においても、果実のDGAT1 mRNA低下が見られ、機能的重複を示唆する。35Sプロモーターを用いたA2過剰発現株作成を試みたが、恐らくco-suppressionによると思われる発現低下が見られたため、現在、種子特異的なA2過剰発現株の作成と解析を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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