日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナHSI2サブファミリーB3因子による種子成熟プログラム抑制機構
*鵜飼 聖子河合 都妙近藤 有里前尾 健一郎小内 清石浦 正寛中村 研三
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p. 0615

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抄録
シロイヌナズナのHSI2サブファミリーB3因子は、胚発生や種子成熟遺伝子の発芽後の発現抑制に必須であり、hsi2 hsl1二重遺伝子破壊株では、発芽後に種子成熟関連遺伝子が糖依存的に強く発現し、肥大した胚軸に大量の種子貯蔵タンパク質や油脂が蓄積して生育停止する1)。HSI2のDNA結合能の解析や種々変異株のマイクロアレイ解析から、種子貯蔵タンパク質や種子オレオシンの遺伝子は直接の標的と考えられる。これら遺伝子領域のクロマチンは、栄養成長期のCol-0植物体では不活性マーカーH3K27me3の修飾を強く受けている。発芽後数日でこれら遺伝子のmRNAは消失するが、クロマチンのH3K27me3修飾は1週では殆どみられず、2週目以降に顕著になった。一方、hsi2 破壊株では発芽2週後になってもこれら遺伝子領域にH3K27me3修飾は検出されず、HSI2は種子成熟遺伝子のH3K27me3修飾に重要であることが示唆された。OleS3p::LUCを導入したCol-0株種子をルシフェリン入り培地で発芽させると、LUC発光は発芽後36時間目をピークに消失したが、hsi2 hsl1二重破壊株では発芽後にLUC発光は継続して増加し、OleS3 の発芽後の発現抑制のライブモニターが可能になった。 1)Tsukagoshi, H. et al., PNAS 104: 2543 (2007).
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© 2011 日本植物生理学会
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