日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ穂の形態を制御するTAW1 遺伝子の解析
*吉田 明希子安野 奈緒子笹尾 真史北口 善教佐藤 豊長村 吉晃高木 恭子飯田 滋前川 雅彦経塚 淳子
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p. 0618

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抄録
イネの穂は枝分かれ (枝梗) に、小穂とよばれる花構造が形成されることによりかたちづくられる。小穂メリステム(SM)アイデンティティー決定のタイミングが、イネの穂の形態には重要な役割を果たす。このタイミングを制御する分子遺伝学的機構の解明をめざし、tawawa1-D1 およびD2 (taw1-D1 -D2 ) 変異体の解析を行った。taw1-D1-D2 は、枝梗の数が増加する表現型を示す。taw1-D1 taw1-D2 は半優性変異体であり、TAW1 遺伝子の3,UTR領域へのトランスポゾン挿入によりTAW1 遺伝子の発現量が野生型よりも増加していることがわかった。TAW1 は栄養成長期から茎頂メリステムで発現し、生殖成長に転換すると発現量が顕著に低下し、小穂分化期には発現が見られなくなる。このことから、TAW1 遺伝子はSMアイデンティティーを抑制しており、SMアイデンティティー決定にはTAW1 の発現低下が必要であると考えた。taw1-D ではTAW1 遺伝子の発現量が野生型の発現量よりも高いためにSMアイデンティティーの決定が遅れ、その結果、過剰な枝梗の形成が起きたと解釈できる。TAW1は核に局在するタンパク質であるが、その分子機能はわかっていない。今後、TAW1の分子機能の解明、他の遺伝子との分子レベルおよび遺伝学レベルでの相互作用の解明に向けて解析を進めていく。
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© 2011 日本植物生理学会
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