日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネの芒形成に関与する遺伝子の解析
*鳥羽 大陽大森 良弘平野 博之
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p. 0617

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抄録
私たちは、イネを用いて花や小穂の発生機構の解明を目指した研究を行っている.本発表では,イネ科植物に特異的な器官である芒の発生に関わる遺伝子について報告する.芒は,外穎先端部に生じる細長い突起状器官であり,その基部は竜骨と呼ばれる外穎中央部分につながる.これまでに,芒の発生制御機構に関する分子レベルの解析は全く行われていない.DROOPING LEAF(DL) は, YABBY 遺伝子ファミリーに属する転写制御因子をコードしており,イネの葉の中肋形成と心皮のアイデンティティー決定に必要である.遺伝学的およびRNAi法を用いた逆遺伝学的解析結果から,DL は芒の形成促進にも必要であることが明らかとなった. DLの空間的発現パターンを解析した結果,その発現は外穎の竜骨部分において認められたが,伸長中の芒においては認められなかった.この発現解析結果から,DL の芒形成における機能は細胞非自立的である可能性が示唆された.
また,私たちは,棒状外穎を形成する変異体 shl2-rol について,詳細な観察を行い,この変異体では芒の形成が促進されていることを見いだした.今後は,SHL2DL,二つの遺伝子の相互作用も含め,芒形成機構の解析を進めて行く予定である.
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© 2011 日本植物生理学会
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