日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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概日時計による細胞周期の調節機構の解析
*北山 陽子西脇 妙子近藤 孝男
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p. 0639

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抄録
多くの生物は昼夜の環境変動に適応するため、体内に約24時間周期のリズムを発生する概日時計を持っており、シアノバクテリアは概日時計をもつ最も単純な生物として知られている。これまでの研究からシアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942の概日リズム発生にはkaiABC遺伝子群が必須であり、特に時計タンパク質KaiCが中心的役割を担っていることがわかっている。私達はKaiCに結合するタンパク質のスクリーニングを行い、DNA複製因子DnaAを同定した。Synechococcus elongatus PCC 7942のdnaAを破壊しても細胞は生育が可能であったが,その概日リズムの周期が短周期になり、逆に過剰発現すると概日リズムの周期は長周期になった。さらに変異体において細胞分裂が抑制されることが示唆された。細胞周期は概日時計に調節されており、KaiCのATPase活性が細胞分裂を制御することが示唆されている。これらの結果から、DnaAは、KaiCと相互作用して概日時計を調節するとともに、概日時計による細胞周期の調節機構の一部として働いているのではないかと考えられる。
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© 2011 日本植物生理学会
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