日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

DYWドメインを持つPPRタンパク質はミトコンドリアcox1 mRNAのスプライシングを促進する
*一瀬 瑞穂田崎 瑛示杉田 千恵子杉田 護
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0646

詳細
抄録
植物のオルガネラは独自のゲノムを持ち、その遺伝子発現はRNAの部位特異的切断やスプライシング、RNA編集など転写後の段階で様々な制御を受ける。これらの転写後制御にpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質が重要な役割を担っていることが知られている。我々はC末端にDYWドメインを持つPPR-DYWタンパク質がミトコンドリアのRNA編集因子として機能していることを最近明らかにした。初期陸上植物のヒメツリガネゴケには10種のPPR-DYWタンパク質が存在するが、このうち、ミトコンドリアに局在するPpPPR_43の機能を解明するため、PpPPR_43遺伝子破壊変異株を作製し、RNA編集への影響について解析した。その結果、変異株ではミトコンドリアに11カ所あるRNA編集部位のRNA編集が正常に起こっていることを観察した。これに対して、cox1 mRNAのスプライシング効率が著しく減少していることを見いだした。また、cox1のイントロン中に存在するORF622遺伝子の転写物は野生株と同レベル蓄積していた。これらの結果を踏まえて、PpPPR_43がミトコンドリアcox1 mRNAのスプライシングを促進する分子メカニズムについて考察する。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top