日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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光合成に影響を及ぼすイネミトコンドリアPentatricopeptide repeat mpr25変異体の解析
*戸田 拓士藤井 壮太野口 航風間 智彦鳥山 欽哉
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p. 0647

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抄録
ミトコンドリア遺伝子発現制御因子の一つにRNA結合タンパク質であるPentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質がある。PPRモチーフは35アミノ酸の繰り返し配列であり、PPRタンパク質は特定の配列に結合し、遺伝子の転写後発現制御に関係した機能を担っている。 本研究では、イネPPRの中で、Mitochondrial PPR 25 (MPR25)と名付けたPPR遺伝子のTos17挿入系統を用いて機能解析を行った。mpr25変異体は淡緑色の葉で、生育不良を示した。MPR25はミトコンドリアに局在し、ミトコンドリア呼吸鎖Complex I (NADH デヒドロゲナーゼ)のサブユニットをコードするnad5のC-U RNAエディティングに関係した機能を持っていた。また、生育初期でのmpr25における呼吸活性と、光合成速度を調査した結果、呼吸活性は野生型と比較して差は見られなかったが、強光条件下での光合成速度がmpr25で低下していることがわかった。さらに生育初期のmpr25におけるミトコンドリア呼吸鎖のオルタナティブなNADH デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の発現解析を行った結果、mpr25でこれら遺伝子の発現が増加していることがわかった。これらのことから、MPR25はnad5のRNAエディティングに関係した機能を持ち、光合成にも影響を与えていると考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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