抄録
本研究では,グルコシルセラミド(GlcCer)を精製せずに,植物のGlcCer分子種をより簡便に同定・定量する方法を開発したので報告する。全脂質を弱アルカリ処理し,生じた遊離脂肪酸をSep-Pak Plus Silica Cartriges(Waters)で除いた後,GlcCerを含む脂質画分をLC/MS/MSによって分析した。メタノール/ギ酸(1000/1, v/v),および,水/ギ酸(1000/1, v/v)の二液グラジエント,流速0.2 mL/min,カラム温度40oCによってGlcCer分子種を分離した。分子種の同定・定量は,タンデム四重極型質量分析計(ACQUITY TQD, Waters)を使用し,MRM+モードで行った。GlcCer分子種のプロダクトイオンの検出は,LCB部分で行った。東ソーのカラムTSKgel ODS-100Z (炭素含量20%, 粒子径3 micro m, TOSOH)を使用し,長さの異なる3種類のカラムによって各分子種の分離の程度を比較した。その結果,250 mmの長さのカラムを使用することによって,C16からC26までの構成脂肪酸(2-ヒドロキシ脂肪酸)を有する分子種において,定量解析できるレベルでのLCBの8位のシス/トランス異性体に基づく2つの分子種を分離することができた。