日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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代謝および転写プロファイルデータの統合解析によるシロイヌナズナUV-B防御代謝機構の解明
*草野 都峠 隆之福島 敦史小林 誠林 尚美大槻 瞳近藤 陽一後藤 裕人川島 美香松田 史生新井田 理絵松井 南斉藤 和季Fernie Alisdair
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p. 0659

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抄録
近年オゾン層の減少により、地表に到達するUV-B照射量は増加傾向にある。UV-Bは植物の生長に深刻なダメージを与えることが知られており、UV-Bストレスに対する植物の防御機構を解明することは、今後UV-B耐性作物の作出を行う上で重要である。我々は、植物が生産するUV-B防御物質の生産機構を解明するため、フラボノイド生合成経路内の鍵酵素遺伝子を欠損したシロイヌナズナ変異体2種類(TRANSPARENT TESTA [tt] 4 およびtt5)およびシナポイルマレート生合成の鍵酵素遺伝子に変異を持つsinapoylglucose accumulator 1 (sng1)を用い、短期および長期UV-B照射による代謝物群の変化を調べた。短期UV-B照射処理により、4種の遺伝型に共通して一次代謝物群の蓄積量が変化したのに対し、二次代謝物群の蓄積は観測されなかった。長期UV-B照射処理の結果、UV-B吸収能力のある二次代謝物群の蓄積が観測されたことから、初期の一次代謝物群の変動は二次代謝物群の生産のために起こると考えられた。次に、野性型、tt4およびsng1に対し、短期UV-B処理における転写物プロファイルを行った。その結果、変異体ではUV-B防御に重要な役割を持つ物質群を失うことで、変異体は早く老化が進むこと、さらにUV-B照射によって特異的に誘導される老化関連遺伝子群を特定した。
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© 2011 日本植物生理学会
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