日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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同位体酸素環境下で生育した光合成生物の全代謝物の網羅的解析
*鈴木 秀幸嶋田 典基荒 武桜井 望柴田 大輔青木 考
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p. 0661

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抄録
精密質量分析装置の高分解能により、天然同位体存在比を考慮したモノアイソトピック質量値が分離され、精密質量値から化合物の組成式が計算される。天然物に存在する酸素原子の中には、大気中の酸素がP450等の一原子酸素添加酵素によって取り込まれるものが知られており、多数のP450等を持つ高等生物では大気中の酸素を取り込む頻度が高いと予想される。代謝物とそれに含まれる酸素原子の由来の関係を明らかにするために、同位体酸素環境下で生育した光合成生物(ミヤコグサ、ヒメツリガネゴケ等)の代謝物をLC- Orbitrap-MSにより分析し、代謝物に取り込まれた同位体酸素原子を中心に解析を行った。
1週間及び4週間同位体酸素環境下で生育(22度、16時間明所:8時間暗所)したミヤコグサ地上部の代謝産物を分析したところ、4週間生育した植物のみで、主にフラボノイドの非糖部に同位体酸素原子が取り込まれたことを確認した。一方、同位体酸素環境下4週間生育(22度、24時間明所)したヒメツリガネゴケ地上部では、同位体酸素原子が取り込まれた代謝物は確認されていない。現在、4週間生育したミヤコグサ地上部の代謝産物に関して、フラボノイドを含め、同位体酸素原子が取り込まれた化合物のアノテーション解析を行っている。MS/MS分析による同位体酸素原子が取り込まれたフラボノイドの非糖部の詳細な部分構造解析を行っている。
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© 2011 日本植物生理学会
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