日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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divinyl chlorophyllide reductaseの多様性
*伊藤 寿田中 亮一田中 歩
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p. 0683

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抄録

divinyl chlorophyllide reductase (DVR)はクロロフィル合成系においてBリングのビニル基をエチル基に還元する。シロイヌナズナのDVR(AtDVR)は変異体を利用して同定されたが、AtDVRと相同な遺伝子をもたないラン藻が存在する。ラン藻のモデル生物として利用されているSynechocystis sp. PCC6803のゲノムにもAtDVRと相同な遺伝子は存在しない。AtDVRと相同性のある遺伝子を持たないラン藻に共通に存在する遺伝子がラン藻のDVRであると仮定し、ゲノムを比較することによりSynechocystis sp. PCC6803のSlr1923がDVRであると予測された。その破壊株ではビニル基が還元されない。そこでSlr1923の組み換え体を作製したところ、ビニル基を還元し、Slr1923がDVR(SyDVR)であることが示された。
ラン藻の中にはSyDVRではなく、AtDVRと相同な遺伝子をもつものがある。そのような遺伝子がビニル基を還元する活性を持つかどうか調べた。海洋性のラン藻Synechococcus WH8102はSyDVRではなくAtDVRと相同な遺伝子を持つ。その組み換え体を作製したところ、ビニル基を還元し、DVRであることが示された。
以上より、ラン藻には二種類のDVRが存在することが明らかとなった。

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