日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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環境ストレスに応答したダイズのガラクチノール合成遺伝子発現とエチレンシグナル
小島 花織山口 春香奥田 宗広石橋 勇志*湯淺 高志井上 眞理
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p. 0682

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抄録
近年,環境ストレス(高温, 低温, 活性酸素, 塩ストレス, 乾燥)により植物のラフィノース属オリゴ糖合成の律速酵素であるガラクチノール合成酵素遺伝子(GolS)の発現が強く誘導され,ラフィノース属オリゴ糖を蓄積することで乾燥・高温耐性を獲得することがシロイヌナズナやトマト(湯浅ら, 本学会, 2009)を用いた研究により示された.先行研究において過酸化水素処理したダイズの乾燥耐性の向上が示された.そこでダイズの乾燥応答におけるGmGolSの発現変動と調節メカニズムについて活性酸素とストレス応答性ホルモンの役割を解析した.半定量的RT-PCRにより,乾燥ストレス処理に応答してダイズのガラクチノール合成酵素ホモログGmGolSの発現上昇が示された.同時にダイズのエチレン合成酵素遺伝子GmACS, エチレン応答性転写因子GmERFの発現が上昇した.シロイヌナズナとトマトでGolS発現を誘導することが示された過酸化水素をダイズに処理した時, GmGolS発現増加と共にGmACS, GmERFの発現が増加した.また抗Ein3抗体によるイムノブロットにより,ERFの発現を制御するエチレン特異的転写因子GmEin3のタンパク質レベルの増加が観察された.以上の結果より,乾燥ストレスに応答したGmGolSの発現誘導に活性酸素およびエチレンシグナルの関与が示唆された.
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© 2011 日本植物生理学会
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