日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ショ糖分配の変化が側枝形成に及ぼす影響
*田茂井 政宏漆地 里紗宮崎 望大鳥 久美丸田 隆典重岡 成
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p. 0693

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抄録
ショ糖合成系の律速因子である細胞質FBPaseを強化した形質転換タバコは、高CO2環境下では側枝数、葉数が野生株より増加することを明らかにしてきた。このことは、植物体内におけるショ糖分配の変化がシグナルとなり、側枝数、葉数を制御することを示唆している。そこで、ショ糖分配の変化が側枝形成に及ぼす影響を分子レベルで明らかにするために、ラン藻由来FBPase-IIを細胞質で発現させたシロイヌナズナ(AcF)を作出し、形態形成に関わる植物ホルモン応答遺伝子群の発現解析を行った。通常CO2(360 ppm)下ではAcF株は野生株と同様の生育を示したが、高CO2(1000 ppm)下ではAcF株は側枝数が増加し、生重量は野生株の1.2~1.5倍に増大していた。そこで、形態変化が見られる直前の5週齢の植物体からRNAを単離し、RT-PCRにより伸長成長、腋芽形成に関わる植物ホルモンの生合成に関わる遺伝子群および植物ホルモン応答遺伝子群の発現量の比較を行った。その結果、AcF株ではNIT3(オーキシン)、IPT3, CKX4(サイトカイニン)、GA3OX1, KAO2(ジベレリン)、MAX3, CRTISO(ストリゴラクトン)等の植物ホルモン生合成系遺伝子、および種々の植物ホルモン応答遺伝子群の発現量に変化が見られた。現在、各部位からRNAを単離し、リアルタイムPCRにより詳細に解析を行っている。
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© 2011 日本植物生理学会
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