抄録
光ファイバー分光器に接続したファイバープローブを用いて、陸上植物葉内の微細光環境の測定を行った。多くの陸上植物の葉では、葉内に入射した光は、表皮や柵状組織、海綿状組織で吸収・散乱されて、上面から下面に向かって質的・量的に大きく変化すると予想される。本研究では数層の柵状組織と海綿状組織を持つソラマメ葉でこの変化を測定した。まず、散乱光を模したハロゲン光源を用いて葉上面から照射した光の変化を、葉片に垂直に下面から挿入したプローブで50μmごとに測定した。柵状組織では青色光(λ=480nm)と赤色光(λ=680nm)が効率よく吸収され、組織下面の光強度は21%に低下した。海綿状組織では緑色光(λ=550nm)も吸収されて5.8%となった。プローブを異なる角度で挿入して様々な方向の光を測定しても、散乱光源では同様の結果を得た。次に直射日光を模したレーザー光(λ=680nm)を用いて同様の実験を行った。その結果、レーザー光は上面表皮と柵状組織で散乱して、垂直方向の成分を失うが、その多くは散乱光となり、葉内下層で吸収されていた。