日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおけるシスゼアチンの役割
*工藤 徹槇田 庸絵小嶋 美紀子徳永 浩樹榊原 均
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p. 0706

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抄録
シスゼアチン(cZ)は、高活性サイトカイニンであるトランスゼアチン(tZ)のプレニル側鎖の二重結合における幾何異性体である。シロイヌナズナやタバコなどを用いた長年の研究成果から、一般的には、cZはtZと比較して生理活性が極めて低く、tZに変換されることで活性化されると理解されている。しかし、トウモロコシでは外来のcZがtZへの変換を介さずとも活性型として認識されることが示唆されている。また、イネやトウモロコシ、シロバナルピナス、ヒメツリガネゴケなど複数の植物種でcZやその誘導体が蓄積することが報告されており、植物におけるサイトカイニン機能の全体像を理解するためには、cZの役割・重要性を改めて検討する必要がある。本研究では、イネにおいてcZが活性型サイトカイニンとして機能している可能性を検証することを目的とした。幼植物の生育を指標としたバイオアッセイ等の解析結果は、イネが外来性cZ感受性であることを示唆した。そこで次に、内生cZの重要性を評価するためサイトカイニンの不活性化を触媒すると考えられているcZ-O-配糖化酵素に着目した。cZ代謝の撹乱が期待される本配糖化酵素遺伝子過剰発現イネでは、地上部矮性などいくつかの可視的な表現型異常が観察された。本年会では、これらの結果からイネにおけるcZの役割について議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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