抄録
ジベレリン(GA)は、高等植物の発芽や伸長成長、開花時期の制御等を行う植物ホルモンである。我々は、遺伝子組換え技術により、ポプラのGA合成量を制御し、成長量を調節できると考えている。高等植物では、GA12以降のGAの酸化に、2-オキソグルタル酸要求型酸素添加酵素ファミリーに属する酵素が関与している。我々は、シロイヌナズナなどの高等植物の既知の配列情報や既存のポプラゲノム情報を利用することで、合計28のGA生合成系酵素遺伝子を単離することに成功した。系統進化学的解析では、これらがGA20酸化酵素、GA3水酸化酵素、炭素数19のGA2水酸化酵素(C19GA2ox)、炭素数20のGA2水酸化酵素の4つのクレードに大別することができた。そこで、C19GA2oxの一つPnGA2ox1遺伝子を過剰に発現する組換えポプラを3系統単離した。これらの組換えポプラは、長日の人工光条件下では、野生型の約40%の伸長成長速度を示した。この他、生育特性や内性ホルモン量の変化、導入した遺伝子及びそれ以外のGA生合成系酵素遺伝子の発現量の変動についても調べている。