日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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タバコBY-2細胞における核表面に局在するキネシンNMK-1の機能解析
*安原 裕紀川本 怜奈榊本 満里奈宮本 怜北本 一輝光武 翔浅田 哲弘
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p. 0724

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抄録
核の移動は、植物の細胞分裂や細胞分化に重要と考えられている。タバコ培養細胞BY-2では、細胞分裂に先立つ細胞表層から細胞中心部への核の移動には微小管とアクチン繊維が、細胞質分裂後の新しい隔壁から遠ざかる娘核の移動には主にアクチン繊維が関わると考えられているが、これらの細胞骨格と相互作用して核の移動を担う分子については明らかではない。我々はこれまでに、BY-2細胞からいくつかのキネシン様蛋白質のcDNAを単離し、これらと蛍光蛋白質の融合蛋白質の細胞内局在を検討してきた。これらのうち、NMK-1と名付けたキネシンが、細胞周期を通して核表面に局在することを見いだし、これを核の移動に重要な役割をはたす分子の有力候補と考えその解析を進めている。NMK-1の様々な部分欠損断片と蛍光蛋白質の融合蛋白質の細胞内分布を調べたところ、モータードメイン上流のコイルドコイルドメインを介して核表面に局在していることがわかった。NMK-1はN末端にCHドメインを持つが、MNK-1全長だけでなく、このドメインを持つ部分断片はいずれもアクチン繊維上には局在しなかった。また、rigor変異を導入したNMK-1とGFPの融合蛋白質は、核表面と微小管上に局在し、これの誘導発現により、完成した隔壁に付随したままの核を持つ細胞対が顕著に増加した。この結果は、NMK-1が細胞質分裂後の娘核の移動に関わる可能性を示している。
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© 2011 日本植物生理学会
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