抄録
多年生植物は秋に生長を停止し、芽は自発休眠と呼ばれる休眠状態に入る。自発休眠に入ることで、植物は冬の低温や乾燥といった厳しい環境下においても生存可能となることから、多年生植物のライフサイクルにおいて自発休眠は非常に重要な形質である。しかしながら、多年生植物の自発休眠に関する分子生物学的知見は未だ少ない。これまでに我々は、シロイヌナズナのSVPに相同なDORAMCY ASSOCIATTED MADS-box (PmDAM)が、温帯果樹ウメの自発休眠に関与することを示してきた。今回、我々は、複雑に制御されていると考えられる自発休眠制御機構に関与する新たな遺伝子を単離するため、ウメESTおよびモモゲノムデータベースからウメカスタムマイクロアレイ(180Kx3)を設計し、葉芽における網羅的発現解析を行った。マイクロアレイ解析結果について報告するとともに、PmDAMと同様に休眠と同調的な発現パターンを示す遺伝子について報告する。