日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

イネOsMac1mRNAの5’非翻訳領域に存在する翻訳促進配列
*寺村 浩榎本 裕介佐々木 忠将島田 浩章
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0754

詳細
抄録
イネのOsMac1遺伝子の転写産物にはおよそ500塩基からなる5'非翻訳領域(5'UTR)が存在する。この5'UTRの3'領域には3個のupstream ORF (uORF)が存在していた。また、この5'領域に CU rich領域が存在した。この5'UTRはExon1とExon2のスプライシング部位で生じた選択的スプライシングに由来する3種の異なる構造を有するもの(UTRa,UTRb,UTRc)が存在した。UTRaとUTRbはUTRcよりもそれぞれ54塩基、38塩基短かった。この5'UTRは下流のORF の翻訳の制御に関与していることが予想されたため、この下流にGUS遺伝子を結合し、この領域による発現制御の可能性を調べた。UTRcの下流にGUS遺伝子を結合した場合、5'UTRを付加しないコントロールよりも非常に高い翻訳効率を示した。一方、UTRaやUTRbの下流に結合した場合には、コントロールと同程度の低い翻訳効率を示した。部位得的変異によりuORFの翻訳開始コドンを欠損させた場合でも翻訳効率に大きな変化は認められなかった。一方5’領域のCU rich 領域を欠損させた場合、欠損の度合いに応じて、翻訳効率が低下した。このことからOsMac1の5'UTRによる下流のORFの翻訳の促進は、5'領域のCU rich 領域とUTRcに含まれる38塩基が大きく関わっていることが示唆された。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top