日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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S-アデノシルメチオニンはシロイヌナズナCGS1新生ペプチドに縮んだ構造をとらせる
*山下 由衣尾上 典之尾之内 均内藤 哲
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p. 0755

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抄録
シスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)はメチオニン生合成経路の鍵段階を触媒する。CGSをコードするシロイヌナズナのCGS1遺伝子の発現は,mRNA分解の段階でメチオニンの代謝産物であるS-アデノシルメチオニン(AdoMet)に応答したフィードバック制御を受ける。この制御にはCGSのN末近傍の14アミノ酸であるMTO1配列が,シス配列として重要である。CGS1 mRNAの分解に先だって,AdoMetに応答して,MTO1領域を翻訳した直後にリボソームが一時停止する。このことは,翻訳アレストしたリボソーム出口トンネルの中に,MTO1ペプチドが存在することを意味する。
リボソーム出口トンネルにおけるMTO1ペプチドの作用機構は未知である。そこで,我々は,MTO1配列を含む,CGS1新生ペプチドが,AdoMetに応答して構造を変えると考えた。この可能性を小麦胚芽試験管内翻訳系を用いた,ペジレーションアッセイによって検証した。その結果, AdoMetに依存して,CGS1新生ペチドが縮んだ構造をとることが示唆された。新生ペプチドの縮んだ構造と翻訳アレストの関係について議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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