抄録
O-GlcNAc修飾は、UDP-GlcNAcをドナーとしてタンパク質のセリン/スレオニン残基に1分子の N -acetylglucosamine (GlcNAc)が付加される動的な翻訳後修飾である。動物においてはO-GlcNAc修飾タンパク質が続々と同定され、O-GlcNAc修飾の生理機能解析が進められている。植物では、シロイヌナズナやイネにおいて、動物のO-GlcNAc転移酵素(O-GlcNAc transferase, OGT)と高い相同性を有するタンパク質としてSPYNDLYとSECRET AGENTの2つが同定されているが、内在性O-GlcNAc修飾タンパク質の存否は未だ不明である。そこで我々は、シロイヌナズナ内在性O-GlcNAc修飾タンパク質の同定を試みた。発芽から初期成長過程に注目し、O-GlcNAc修飾タンパク質の存否を検証したところ、抗O-GlcNAc抗体陽性タンパク質が複数存在しており、成長過程に特有の変動パターンを示すことがわかった。また、ハプテン阻害試験によって、これらの抗O-GlcNAc抗体陽性シグナルが消失したことから、内在性O-GlcNAc修飾タンパク質が存在することが示唆された。以上の解析から、シロイヌナズナ初期成長過程に出現する抗O-GlcNAc抗体陽性タンパク質を同定するとともに、O-GlcNAc構造の糖鎖であるか解析中である。