抄録
ラン色細菌Synechocystis sp. strain PCC6803は、光によって駆動される無機炭素輸送機構を持っている。この機構に関与するNa+依存性のHCO3-輸送体SbtAやPxcAなどが報告されている。またPxcA遺伝子欠損株は酸性条件下でCO2の取り込みが大きく阻害されることが知られている。
我々はラン色細菌の無機炭素輸送機構の植物への導入を検討するために、関連する輸送体タンパク質をコードするsbtAおよびpxcAを候補遺伝子としてシロイヌナズナに発現させることを試みた。過剰発現用バイナリーベクターを有したアグロバクテリウムによりシロイヌナズナを形質転換し、数千個体からファーストスクリーニングにより過剰発現形質転換植物体候補を得た。これらの系統は特に形態的異常は示さなかった。さらに系統間で目的遺伝子発現の有無や発現量の違いについて検討し、それぞれの遺伝子発現系統を得たが、タンパク質発現が確認できたのはPxcA過剰発現形質転換植物体のみであった。自殖後代によって、得られた形質転換植物体を用いて、異なるNa+濃度およびpH条件が初期生育に及ぼす影響について検討を進めている。