日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物病原細菌が生産するエフェクタータンパク質による植物の過敏感細胞死誘導の機構解析
*近藤 真千子乗京 知宏吉田 裕貴宇野 雄太島田 真弥蔡 晃植
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p. 0789

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抄録
植物免疫反応の一つである過敏感細胞死は、細菌のHrp分泌装置を介して植物細胞内に分泌されるエフェクタータンパク質によって誘導される。イネの過敏感細胞死誘導機構を明らかにするため、イネ病原細菌Acidovorax avenaeの非病原性N1141菌株のHrp (Hypersensitive response and pathogenicity)遺伝子群を探索したところ、分泌装置をコードする遺伝子を含む約30kbpから成るHrp遺伝子群の存在が明らかになった。分泌装置をコードする遺伝子を欠損させると、イネの過敏感細胞死が誘導されなかったことから、イネ過敏感細胞死誘導にはこの菌のHrp分泌装置を介して分泌されるエフェクタータンパク質が関与することが示唆された。そこで、このエフェクタータンパク質を同定するために、N1141株とそのHrp分泌装置欠損株をイネ培養細胞に接種し、Hrp分泌装置欠損株の菌体内で特異的に蓄積するタンパク質をプロテオーム解析により同定した。同定したタンパク質の各遺伝子変異株を作成したところAhp1と名付けた遺伝子変異株が過敏感細胞死誘導能を失うことが示された。さらに、この遺伝子をイネ細胞内に導入し、発現させたところ、過敏感細胞死が誘導されたことから、この遺伝子産物がイネの過敏感細胞死に関与する可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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