日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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Pb1による穂いもち抵抗性は転写因子WRKY45の翻訳後制御を介している?
*井上 晴彦林 長生松下 茜中山 明菅野 正治姜 昌杰高辻 博志
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p. 0788

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抄録
穂いもち病圃場抵抗性遺伝子Pb1(Panicle Blast1)は、インディカ・イネ「Modan」に由来し、安定で高度な発病抑制効果を示す。Pb1タンパク質はCC-NB-LRR型Rタンパク質様構造をもち、サリチル酸経路を介した誘導抵抗性に中心的な役割を果たす転写因子WRKY45と特異的に相互作用することをこれまで報告した。Pb1によるいもち病抵抗性のWRKY45依存性を調べるため、Pb1をもつイネ系統およびPb1を過剰発現するイネにおいて、RNAi法によりWRKY45遺伝子を発現抑制し、いもち病抵抗性に対する影響を調べた。その結果、いずれの場合もPb1による抵抗性が抑制され、Pb1による抵抗性がWRKY45に依存していることが示された。一方、核排除シグナルを付加したPb1を発現させたイネはいもち病抵抗性を示さないことから、Pb1の核局在が抵抗性に必須であることが示された。次に、WRKY45はプロテアソーム分解制御を受けることから、これとPb1抵抗性との関連に着目して解析した。その結果、Pb1は、タンパク質間相互作用を介してWRKY45を分解制御から保護することが示された。いもち病菌接種後のWRKY45タンパク質の蓄積を調べると、Pb1過剰発現イネでは対照の日本晴より多量の蓄積が見られた。以上より、Pb1抵抗性は、WRKY45の分解制御からの保護を介して発現していることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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