日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ白葉枯病菌エフェクターXopPの標的因子の同定
*石川 和也山口 公志古谷 綾子落合 弘和津下 誠治島本 功川崎 努
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p. 0792

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抄録
病原菌は、タイプ場L分泌装置 (TTSS) を用いてタイプ場Lエフェクターを宿主細胞に注入することにより防御応答システムを錯乱、打破することで植物の抵抗性反応を抑制し、宿主に感染する。そのため、エフェクターの標的は植物の防御応答システムに非常に重要な因子であると考えられる。本研究では、イネ白葉枯病菌T7174R株のエフェクターであるXopPを用いて新規イネ耐病性機構を解明することを目的としている。
これまでに、XopP 過剰発現イネにイネ白葉枯病菌のタイプ場III分泌装置が欠損したHrpX変異株を接種した結果、顕著な病徴の拡大が認められた。また、イネの細胞においてXopPは細胞質に局在することが明らかになっている。しかしながら、これまでXopPの機能については全く明らかになっていない。興味深いことに、XopP 過剰発現培養細胞ではキチンエリシター処理によって誘導される防御遺伝子の発現の誘導が顕著に抑制されていた。このことから、XopPはキチンによって誘導されるイネの防御応答を阻害していると考えられる。そこで、酵母ツーハイブリッド法を用いてXopPのイネ相互作用因子の探索を行った結果、新規のU-boxドメインを有するARMリピートタンパク質を同定した。本発表では、XopP過剰発現イネや培養細胞を用いた解析、およびXopPの相互作用因子について報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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