日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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光によるトマト芽生えのフック巻込み反応に関わる胚乳因子
*兼平 清江森川 友紀姉川 彩大西 美輪深城 英弘三村 徹郎橋本 徹七條 千津子
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p. 0802

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抄録
暗黒で発芽した双子葉植物の芽生えは胚軸上部にフックを形成する。フックは地中で茎頂を保護しつつ成長するために必要であり、芽生えが地表に出て光に当たるとフックは開き胚軸が立ち上がるというのが植物生理学の定説である。しかし我々は、光がフックを巻き込ませることをトマトの芽生えで明らかにした。この光受容体はフィトクロムであり、フック巻込みの意義は、子葉を強固に被う種皮を地中で脱ぎ捨てるためであることを、フィールドシミュレーション実験と芽生え種子部の解剖学的調査により示した。さらに種皮をその内部に残る胚乳とともに芽生えから取り除くと光によるフック巻込みが起こらなくなることが明らかになり、種皮もしくは胚乳がフック巻込みに関わることが示された。我々は既にトマト以外の植物種においても光によるフック巻込みを明らかにしているが、それらはいずれも子葉が胚乳に取り囲まれた状態で種皮内に閉じこめられている時フックを巻き込む。そこで今回、胚乳中に光によるフック巻込みを制御する因子が存在するのではないかとの作業仮説を立て、発芽直後のトマト芽生えより取り出した胚乳の水抽出液を、種皮と胚乳を取り去ったトマトの芽生えの子葉に与えたところ、赤色光下でフックが巻き込むことを見出した。その結果の詳細について報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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