日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イチゴの着色過程における光受容体の役割と解析
*角村 寧子宮脇 克行浜岡 宏和高橋 章野地 澄晴
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p. 0803

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抄録
シロイヌナズナにおいてアントシアニン生合成に関連する遺伝子発現に有効な光質はUV-B、UV-Aおよび青色光であることが報告されている。イチゴ花托の着色はUVで促進されることは報告されているが、青色光またはそれ以外の光質の役割はまだわかっていない。本研究では、イチゴ着色における光受容体遺伝子の機能解析のために、さちのか(Fragaria ananassa)の赤く色づく前の白い花托にLEDを照射し、イチゴ花托への着色効果を解析した。LEDを24時間照射後、暗黒に36時間放置し、アントシアニン含量を定量した結果、青色LED(465 nm)を照射した花托では、緑色(525 nm)、赤色(625 nm)照射と比較して、3倍以上増加した。
また、アグロバクテリウムを介したRNAi法を用いて、青色光受容体遺伝子 (phototropin, cryptochrome) の機能解析を行ったところ、全体的に赤色を呈するコントロールと比較して、表皮および内部の着色の低下が観察でされ、RNAi花托のアントシアニン含量は低下(phot RNAi 約56%、cry RNAi 約45%)していることがわかった。
以上のことから、イチゴ花托において、青色光の照射により着色が促進され、青色光受容体の機能を抑制すると着色が低下したことから、青色光受容体がアントシアニン生合成に関与していることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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