日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

花成制御に関わるフィトクロム相互作用因子VOZの発現組織解析
*上本 允大安居 佑季子西谷 亜依子硯 亮太佐藤 雅彦河内 孝之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0808

詳細
抄録
フィトクロムは赤色光と遠赤色光を受容する光受容体である。フィトクロム相互作用因子の探索を目的に、抽苔時のシロイヌナズナから作成したcDNAライブラリーを用いてスクリーニングを行った結果、陸上植物に広く保存されているVOZVascular plant One Zinc-finger)を単離同定した。シロイヌナズナにはVOZ1VOZ2の2遺伝子が存在し、重複して花成を促進する。また、VOZはphyBの下流、FTの上流で機能する。花成応答においてphyBは葉肉細胞で機能し、FTは維管束組織で発現することに着目し、VOZの発現組織解析を行った。まず、野生株の維管束組織と葉肉細胞を分離し、VOZのmRNA発現量を解析した。その結果、VOZ1は維管束組織のみで、VOZ2は維管束組織を中心に葉肉細胞でも発現が見られた。次に、voz1 voz2二重変異体背景で、GUS-VOZ融合タンパク質をVOZプロモーター制御下で発現する株を作成した。得られた形質転換体で遅咲きの表現型が相補されることを確認し、GUS染色により発現組織を解析した。いずれの成長段階でも、VOZ1は維管束組織において、VOZ2は植物体全体で蓄積していた。さらに、植物の切片の観察より、VOZ1タンパク質は維管束師部に蓄積が見られた。これらの結果より、両者に共通する維管束師部でのVOZの発現が花成制御に重要であることが示唆された。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top