日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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避陰応答による胚軸伸長促進におけるオーキシンの役割の時空間的解析
*小林 淳子綿引 和巳細川 陽一郎小塚 俊明望月 伸悦長谷 あきら
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p. 0809

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抄録
植物が他の植物の陰に入ると、避陰応答により陰から抜け出ようとする。この応答は、陰のなかでフィトクロムの光平衡がPfr型からPr型に傾くことでおきる。我々は、避陰応答における器官間情報伝達に興味をもち、シロイヌナズナ芽生えを材料に避陰応答の時空間的な解析を進めてきた。その結果、1)暗期(夜)初期に子葉でFR光刺激が感知されること、2)その効果は4,6時間以内に子葉から別の部位に移行すること、3)実際の伸長は暗期開始後10時間くらいから顕著になること、などを見出した(小林他、第51回日本植物生理学会年会、2010年)。一方、避陰応答時にオーキシン応答遺伝子の発現が誘導されることが広く知られる。そこで本研究では、避陰応答におけるオーキシンの関与について、レーザー顕微手術と遺伝子発現解析により調べた。まず、オーキシンの供給源として茎頂を想定し、FR照射4時間後、レーザー顕微鏡手術により茎頂と胚軸伸長部位の接続を遮断した。その結果、FR光による伸長促進効果が見れらなくなったが、オーキシン(IAA)の存在下で同様の実験を行うと、あらかじめFR処理した芽生えでのみ、胚軸伸長の促進が見られた。従って、子葉で感知された光刺激により、胚軸伸長部のオーキシン応答性が変化することが示唆された。現在、これらの過程で遺伝子発現が部位ごとにどのように変化するかを、子葉と茎頂および胚軸に分けて解析中である。
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© 2011 日本植物生理学会
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