日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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キクタニギクにおける分子遺伝学的解析ツールの基盤整備
*樋口 洋平小田 篤住友 克彦鳴海 貴子深井 誠一久松 完
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p. 0822

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抄録
キクは短日性多年生草本であり、光周期と温度履歴によって開花時期が厳密に制御されている。我々は、キクの開花反応の分子機構を明らかにする目的で、二倍体野生ギクのキクタニギク(Chrysanthemum seticuspe f. boreale)をモデル植物と位置付け、網羅的な発現遺伝子情報の収集および形質転換系の開発を行っている。まず、様々な光周期処理および温度処理を行ったキクタニギク(系統:NIFS-3)の葉および茎頂部からtotal RNAを抽出し、完全長cDNAライブラリを作製した。均一化処理後、3’EST-, 5’EST- およびfragment ライブラリを作製し、Genome Sequencer FLX (Roche)による高速シークエンス解析を実施した結果、合計で約2,724,000リードの発現遺伝子情報を獲得した。クラスタリングおよびアセンブルの結果、約42,000のクラスターと約60,000のコンティグが得られた。さらに、約60,000のコンティグ配列を中心としてカスタムアレイ(Agilent)を作製した。次に、遺伝子の機能解析を目的としてキクタニギク (系統:NIFS-3)における形質転換系の最適化を行った。これまでに複数の花成関連遺伝子の形質転換体を作出し、約2~5%の形質転換効率を達成している。現在、花成関連遺伝子の網羅的発現解析および機能解析を進行中である。
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© 2011 日本植物生理学会
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