抄録
Mg-キラターゼはクロロフィル合成の第一段階を触媒する酵素で、CHLI、CHLD、CHLHサブユニットから構成される。Mg-キラターゼ活性は、触媒サブユニットであるCHLHにGUN4が結合する事で活性化されると考えられている。さらにCHLHおよびGUN4の変異体は、葉緑体から核へのシグナル伝達に異常を来したgun表現型を示すことが知られている。今回、我々はエンドウの単離葉緑体画分とシロイヌナズナの組換えタンパク質を用いて、Mg-キラターゼ活性の再構成を行なった。エンドウより無傷葉緑体を単離し、可溶性画分(S)と膜画分(LM)に分画した。これらの画分の組み合わせによりMg-キラターゼ活性を得た。得られた活性はMg2+およびDTT依存性を示した。葉緑体チオレドキシン添加による還元では、Mg-キラターゼは活性化されなかったことから、CHLI以外のサブユニットの還元が活性化に必要であると考えられた。また、0 mM Mg2+では、全てのサブユニットはSに存在していたが、5~10 mM Mg2+でCHLHとGUN4がSからLMに移行した。この条件で、SにシロイヌナズナのCHLHおよびGUN4組換えタンパク質を添加すると、Mg-キラターゼ活性を再構成する事が出来た。今後、Mg-キラターゼの再構成系を用いて調節機構やgun変異との関わりについて、解析を行なって行く予定である。