日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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寄生植物コシオガマの次世代シーケンサーを用いた発現解析
*吉田 聡子Ishida JulianeEric WalufaClaude dePamphilis白須 賢
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p. 0833

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抄録
寄生植物は他の植物に水分や栄養分を頼って暮らす植物である。寄生植物には独立栄養でも生育できる条件的寄生植物と、宿主なしでは生活環を全うできない絶対寄生植物がある。ハマウツボ科の絶対寄生植物であるストライガやオロバンキは世界各地で甚大な農業被害をもたらしている。我々は寄生植物の寄生の仕組みを理解することにより、寄生植物の防除法を確立することを目指している。
彼岸の季節に低山帯でピンクの花を咲かせるコシオガマは、日本に自生するハマウツボ科の条件的寄生植物である。単独でも生育できるため実験系として優れていると考え、我々は、コシオガマを用いて寄生過程における遺伝子発現解析を試みた。コシオガマではEST情報等はほぼ存在しないため、次世代シーケンサーを用いたde novo RNA sequencing解析をおこなった。独立栄養で生育させたコシオガマとイネに寄生したコシオガマ根からRNAを抽出し、454型およびillumina型シーケンサーで解析し、アセンブリにより約5万の重複のない塩基配列を得た。さらに、各サンプルのリード配列をアセンブリ配列にマップし、特異的発現遺伝子の同定を試みた。その結果、寄生時のコシオガマ根ではプロテアーゼなどの分解酵素群が特異的に発現していた。本発表では、次世代シーケンサーを用いたde novo 解析および遺伝子発現の定量化における方法論や問題点等も議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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