日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

植物の矮小化に関与する転写因子の機能と応用
*永利 友佳理池田 美穂高木 優
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0856

詳細
抄録
植物の矮小化形質の誘導は、「植物工場」等の限られたスペースにおける物質生産に有用な技術として期待されている。本研究では、矮小化に関わる転写因子およびその機能を明らかにし、物質生産における基盤植物の開発を行うことを目的とした。独自に開発した遺伝子サイレンシング技術(CRES-T法)を用いて、矮小化に関わるシロイヌナズナ転写因子の同定を行った。CRES-T法とは、任意の転写因子に転写抑制ペプチドを融合したキメラリプレッサーを植物体内で発現させることにより、目的の転写因子だけでなく機能重複する内在性の転写因子も効率的に抑制することができる技術である。同定した転写因子(HR0444)のCRES-T適用シロイヌナズナでは、ブラシノステロイド誘導性遺伝子発現が抑制されており、細胞伸長の顕著な抑制がみられた。また、HR0444は、転写抑制活性を持っており、過剰発現株もCRES-T適用株と同様に矮小化形質を示した。CRES-T適用HR0444形質転換タバコを作出し、基盤植物としての物質生産能の評価を行った。その結果、形質転換タバコは、栽培スペースあたりの葉の質量、総タンパク質量が野生株よりも増加した。また、導入した外来遺伝子(GUS)由来タンパク質量生産量も野生株より増加した。HR0444遺伝子の導入は、省スペース栽培に適した植物の作出に有力な手法であることが示唆された。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top