日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

植物腫瘍遺伝子AK-6bとオーキシン流入阻害剤によるタバコの形態変化とオーキシンの動態
*沢田 泰樹小川 敦史我彦 広悦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0861

詳細
抄録
アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)由来の植物腫瘍遺伝子群の一つに6b遺伝子(AK-6b)があり、AK-6b遺伝子を発現するタバコではオーキシンの極性移動が低下し、形態が変化する。AK-6b-タバコでは葉が上偏成長し、葉の裏から突起が生長し、根は短くなり、数が増え、太くなる。オーキシンの極性移動の影響をさらに調べるために、オーキシン流入阻害剤であるナフトキシ酢酸(NOA)を投与したところ、地下部では根の数が減少した。野生型タバコ+NOAでも同様に根の数は減少した。オーキシンの動態を調べるために、オーキシン応答性のレポーター遺伝子DR5:GUSを導入し、GUS活性を調べたところ、AK-6b-タバコ+NOAおよび野生型タバコ+NOAいずれも染色が弱かったことから根部分ではオーキシンの再分配の可能性は明かではない。一方、地上部ではAK-6b-タバコ+NOAでは葉の裏の腫瘍組織は縮小し、下胚軸に新たな突起が形成され、DR5:GUS染色ではAK-6bの腫瘍組織、新たに生じた組織のいずれにも顕著なGUS活性が見られた。一方、野生型タバコ+NOAでは茎葉部の形態には変化が見られなかった。以上のことから茎葉ではAK-6bによるオーキシンの排出阻害とNOAによる流入阻害によりオーキシンの再分配が起きていることが示唆される。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top