日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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絶対的菌従属栄養植物ギンリョウソウの無葉緑化の分子機構
*石崎 龍二末次 舞加藤 裕介粟野 達也坂本 亘岩瀬 剛二上中 弘典
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p. 0866

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抄録
ギンリョウソウ(Monotropastrum humile)はツツジ科シャクジョウソウ亜科ギンリョウソウ属の植物で、葉緑素をもたない白色の無葉緑植物である。また光合成能をもたず、共生する菌類から供給される炭素化合物に完全に依存している絶対的菌従属栄養植物でもある。ギンリョウソウでは原色素体が葉緑体へと分化していないと考えられるが、無葉緑植物の無葉緑化の分子機構は全く明らかになっていない。本研究では色素体の分化に注目した研究を行うことで、ギンリョウソウにおける無葉緑化の分子機構を明らかにすることを目的とした。DAPIを用いた蛍光染色、及び透過型電子顕微鏡を用いた解析により、ギンリョウソウは未分化の原色素体様のオルガネラをもつことを明らかにした。ウエスタンブロット解析により、ギンリョウソウはRuBisCoの両サブユニットタンパク質(rbcS,rbcL)をもたないことを明らかにした。ギンリョウソウのゲノムDNA の解析、及びRT-PCR法を用いた発現解析により、rbcSは転写されているが、rbcLは転写されていないことを明らかにした。葉緑体への分化に関わる遺伝子群の転写調節に関わるバクテリア型RNAポリメラーゼ(PEP)によりrbcLが転写されることから、PEPによる転写調節機構が機能しないことによりギンリョウソウでは原色素体が葉緑体に分化していない可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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