日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolaeにおける葉緑体ヒスチジンキナーゼの機能解析
*佐藤 大地田中 寛華岡 光正
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p. 0869

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抄録
葉緑体には、原始シアノバクテリアの細胞内共生に由来する独自のゲノムとその遺伝子発現系が残されている。しかし、共生後の長い進化の過程で多くの遺伝子が葉緑体から失われ、それと並行して環境応答などの制御系は核による支配を強く受けるようになった。本研究で用いた単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolae(シゾン)は、そのゲノム構造や転写制御系の解析から多くの原始的な特徴を保持していることが示されており、より自律的な環境応答・転写制御系が葉緑体に残されているものと予想される。我々はこれまでに、シゾンに唯一残されているヒスチジンキナーゼ(HIK)と葉緑体ゲノムに残されたレスポンスレギュレーターの1つであるYcf27が、光に自律応答した葉緑体の転写制御に関わることを明らかにしてきた。本研究ではHIKの機能解析を目的とし、まずHIKタンパク質の発現量を調べたところ、光条件に関係なく一定であることが示されたため、光依存的に活性が変化するセンサーとしての役割が予想された。そこで、光センシングに関わると考えられるN末端側のドメインをシアノバクテリアの系を用いて発現・精製した。このタンパク質を用いてZinc-blot解析を行った結果、明確なシグナルは得られなかったことから、フィコシアノビリンなどの開環テトラピロール化合物とは異なる別の分子が発色団として結合している可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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