日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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コセナ型細胞質ダイコンの稔性回復因子として働くPPR蛋白質のRNA結合能に関する解析
*久野 恵三小林 健人小林 啓子安本 景太寺地 徹肥塚 信也松岡 健中村 崇裕
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p. 0870

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抄録

細胞質雄性不稔性(cytoplasmic male sterility;CMS)は細胞質の異常により正常な花粉を作れない形質で、F1種子の作出等に利用されている。CMSの多くはミトコンドリアゲノムの異常ORF発現により引き起こされる。コセナ型細胞質をもつダイコンでは、ミトコンドリア異常ORF(orf125)由来の蛋白質が蓄積し不稔性を示すが、稔性回復因子(Raphanus sativus restorer of fertility;rsRf)が核に存在すると、異常ORFの発現が抑制され花粉形成能が回復する。多くのRfと同様に、rsRfはオルガネラ遺伝子の発現をRNA段階で制御するpentatricopeptide repeat(PPR)蛋白質をコードしており、orf125の発現をRNA段階で抑制すると予想される。
本研究ではこの分子機構を明らかにするために、組換えrsRf 蛋白質とorf125 mRNA との結合をin vitroで解析した。その結果、rsRf蛋白質がorf125 開始コドン下流領域に結合することが示された。また、様々なダイコン品種のrsRf様遺伝子には数残基のアミノ酸多型が見られ、これら多型が稔性回復能に影響すると示唆されている。現在、rsRf様蛋白質のRNA結合能を解析中である。得られた結果を基にrsRfのRNA結合能と稔性回復能との相関関係を考察したい。

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© 2011 日本植物生理学会
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