日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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多細胞性シアノバクテリアAnabaena sp. PCC7120が刻む概日時計のシステムとは?
*櫛笥 博子久下沼 秀之松岡 正城大森 正之岩崎 秀雄
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p. 0886

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抄録
Anabaena sp. PCC 7120は、窒素飢餓条件下で窒素固定細胞ヘテロシストを等間隔に分化する多細胞性シアノバクテリアであり,単細胞性のSynechococcusで従来解析されてきた時計遺伝子kaiABCのホモログを持つため,概日リズムと空間パターン形成を備えた最も単純なモデル生物と考えられる。私たちは??) kai遺伝子制御機構や概日出力系に関するSynechococcusとの相違、??)細胞間同調機構の有無、??)光合成細胞とヘテロシストの概日制御の違い、??)概日時計による分化・パターン形成の制御に注目してきた。今回は,殆ど解析されていないAnabaenaの概日機構の基本特性に関する興味深い知見を報告したい。SynechococcuskaiBCの発現は最も高振幅な振動を示すが、Anabaena kai遺伝子群はほとんど発現振動を示さなかった。それにも関わらず、ゲノムワイドな発現解析から多くの概日発現遺伝子の存在が明らかになり,少なくともkai遺伝子発現制御とその出力伝達機構に何らかの重大な違いが示唆された。一方,高振幅な遺伝子発現振動をモニターする発光レポーターを開発し,概日リズム特有の周期の温度補償性を確認したほか,暗パルスに関してSynechococcus同様の位相応答曲線を得た。現在,Kai蛋白質の発現パターンやリン酸化についても検討を行っており,併せて報告したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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