日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC7942の時計蛋白質KaiCのATPase活性による時間の規定
*高井 直樹三輪 久美子尾上 靖宏村山 依子寺内 一姫大川 妙子近藤 孝男
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p. 0885

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抄録
シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC7942の概日時計は試験管内でKaiA,KaiB,KaiC蛋白質をATPと共に混合するだけでKaiCのリン酸化リズムとして再構成できる。KaiCはATPaseであり,その活性は非常に低く,2つの重要な性質を持つ.第1に,広い範囲の温度条件でもATPase活性は一定であり,第2に, ATPase活性と概日リズムの周期の逆数は比例し, その活性が周期を規定する。KaiCにはこれら2つの性質を満たす分子内フィードバック機構が内在し,ATPを分解して発生したエネルギーを自身の分子内に蓄積することによって生じた分子内の歪みがKaiC自身のATPase活性を強く抑えるのではないかと我々は考えた。KaiCがこの機構を保持するのであれば,温度によってATPase活性が急激に上昇しても同時にブレーキも強まるため,その活性は一定に保たれる。また,周期の変異型KaiCは一定のATPase活性に戻すための復元力の強弱が異なるため,温度のような外乱によってATPase活性が上昇してもその活性の戻る速度は変異体固有の周期に依存する。このフィードバック機構を検討する上では温度を変化させた瞬間のATPase活性の変動を測定する必要がある。そこで,本研究では分解能の高いATPase活性の測定法を開発し,分子内フィードバックモデルについて検討した。
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© 2011 日本植物生理学会
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