日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネFLO2は種子貯蔵物質の生合成を統御する上位制御因子である
*シャク 高志草野 博彰鶴巻 由美八重島 充弘内藤 夏佳山川 博幹羽方 誠青山 卓史佐々木 忠将佐藤 光島田 浩章
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p. 0890

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抄録
イネの貯蔵デンプンや貯蔵タンパク質は種子登熟期の短時間で生合成され蓄積される。イネのflo2変異体は乳白で小粒の胚乳を生じる。この変異体では、登熟期に強く発現する貯蔵デンプンや貯蔵タンパク質生合成に関わる遺伝子の発現量が顕著に低下するため、この変異の原因遺伝子は貯蔵物質の生合成に関わる制御因子であることが示唆された。flo2変異の原因遺伝子をマップベース・クローニングしたところ、第4染色体の1つの遺伝子に終止コドンが生じる変異が起こっていることがわかった。野生型イネよりこの遺伝子を単離し、flo2変異体に導入したところ、得られた形質転換体は野生型の表現型を示したことから、この遺伝子がflo2変異の原因遺伝子であることが同定された。そこで、この遺伝子をFLO2 (FLOURY ENDOSPERM 2) と命名した。FLO2遺伝子は緑葉および未熟種子で強く発現していた。また、この遺伝子の発現量は登熟の進行とともに増加した。FLO2遺伝子はTPRドメインを有する新規なタンパク質をコードしていた。また、FLO2と相互作用する因子として、bHLHタンパク質とLEAタンパク質が検出された。このことからFLO2はこれらの因子と協調的に種子貯蔵物質の生合成系遺伝子群の発現を制御しており、種子の大きさや品質に関わる重要な因子であることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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