抄録
イネ種子貯蔵タンパク質分解に関与するプロテアーゼREP-1の遺伝子Rep1の発現は、ジベレリン(GA)により制御されている。我々は、そのプロモーターのシス配列(CARE)に結合するMyb型転写因子が同一遺伝子にコードされた長さの異なる2種類の新規タンパク質であることを見いだし、CTMyb1L (長鎖型)、CTMyb1S (短鎖型)と名づけた。CTMyb1SはGA応答性転写因子OsGAMybと協調的にRep1の転写活性化に働く(2007年度年会)。本研究では、GA応答に関与するDOF型転写因子RPBFとCTMyb1との相互作用を蛍光タンパク質再構成法で調べた。その結果、単独のCTMyb1S/LとRPBF:CTMyb1S複合体は核に局在したが、RPBF:CTMyb1L複合体は細胞質に局在した。さらに一過的発現系により、RPBFとCTMyb1Sを同時に過剰発現させてもRep1プロモーターの転写活性レベルはCTMyb1S単独時とほとんど変わらなかったが、CTMyb1LとRPBFを同時に過剰発現させると転写活性の増加がみられた。これらの結果は、RPBF:CTMyb1L複合体が核外へ移行すると、Rep1が活性化されることを示している。したがって,CTMyb1LはGAに応答したRPBFと複合体を形成して他の転写抑制因子を核外へ移動することで転写抑制を解除すると考えられた。