日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ハナスベリヒユ(Portulaca hybrid)開花時の花弁で発現する細胞膜H+-ATPase遺伝子の塩基配列解析と発現解析
*石川 宙荒木 愛中西 史
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p. 0897

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抄録
細胞膜H+-ATPaseは植物の膜輸送において主要な働きを持つ酵素であり,細胞伸長や気孔の開口など,さまざまな生理現象に関与している.多くの植物において,同酵素は5つのサブファミリーを形成する10前後のアイソフォームとして存在し,生理現象ごとに異なるアイソフォームが機能していることが示唆されている.ハナスベリヒユ(Portulaca hybrid)はマツバボタン (Portulaca grandiflora) とスベリヒユ (Portulaca oleracea) の交雑種であり,その開花は光強度と温度の上昇によって誘導される.本研究室では30℃一定の培養条件において,同植物の花弁の粗ミクロゾーム画分におけるVanadate-sensitive ATPase活性が,開花直前の暗期中,さらには光照射による花弁の急激な展開の過程で顕著に上昇し,これらの活性上昇の主要因が細胞膜H+-ATPase量の増加であること等を明らかにしてきた.今回,開花時の花弁で発現している4種類の細胞膜H+-ATPase遺伝子を取得し,その配列を調べたところ,アミノ酸配列として79.6~91.2%の相同性を示し,すべてサブファミリーIIに属した.また,花弁における経時的な発現パターンや,発現の器官特異性は各遺伝子間で違いがみられた.現在,これらの遺伝子の発現に対する光や温度の影響等について検討を行っている
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© 2011 日本植物生理学会
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