抄録
アマモ(Zostera marina)は、生活の場を陸上から海水中へと移した単子葉植物である。海水中での生活に適応するため、アマモには独自の水分調節メカニズムが存在すると考えられる。そこで、アマモでの原形質膜アクアポリンに着目し、その遺伝子の単離と発現解析を行った。アマモの葉からは、2種類のアクアポリン遺伝子のcDNAが単離された。予想されるアミノ酸配列から、それぞれPIP1(ZoPIP1)とPIP2(ZoPIP2)と推定された。アクアポリンに特徴的な機能ドメイン(膜貫通領域、NPA モチーフ)が保存されていたことから、ZoPIP1とZoPIP2は水チャネルとして機能すると考えられる。ZoPIP1とZoPIP2の発現は、葉、花序軸、根、地下茎、雌花、雄花、種子・果実、発芽体で検出された。ZoPIP1とZoPIP2とも、葉や発芽体での発現は高く、対照的に雄花での発現は低かった。葉では、乾燥処理によって両遺伝子とも発現が増加した。また、種子では、ZoPIP1とZoPIP2の発現は成熟時よりも発芽時において高かった。これらのことから、ZoPIP1とZoPIP2は、干出によって草体が乾燥にさらされた場合の水分調節や、種子発芽時の水の吸水に関与していると考えられた。