日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

イネ胚乳においてTree Pollen Chimera 7 (TPC7)タンパク質は新規貯蔵オルガネラ形成を誘導する
*王 スーイー高橋 英之川勝 泰二高岩 文雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0905

詳細
抄録
シラカバBet v1タンパク質はシラカバ花粉症の主要なアレルゲンである。ブナ科植物のBet v1遺伝子をシャッフルして設計された人工タンパク質Tree Pollen Chimera 7 (TPC7)は低アレルゲン性であり、ブナ科花粉症に対して複合的に高免疫原性を示す。演者らは複合ブナ科花粉症緩和米の開発・実用化に向けて、TPC7発現米を作出・解析した。N末端にGluB-1シグナルペプチド、C末端にKDEL配列を融合したTPC7をGluB-1プロモーターで胚乳特異的に発現誘導することで、TPC7の蓄積がCBB染色で検出できる程度の高蓄積系統が得られた。抗TPC7抗体を用いたウェスタンブロットの結果、サイズの異なる2本の特異的バンドが検出された。糖鎖切断酵素処理によりバンドが1本になったことから、TPC7はイネ胚乳中で糖鎖修飾を受けていることが明らかになった。イネ種子貯蔵タンパク質であるプロラミンはER由来のプロテインボディ-I(PB-I)に、グルテリンおよびグロブリンは貯蔵液胞であるPB-IIと呼ばれる貯蔵オルガネラに蓄積する。TPC7高蓄積系統ではPB-I、PB-IIとは異なる巨大な新規構造体が形成された。TPC7は主にこの新規構造体に蓄積していたため、この構造体をTPC7ボディとした。本発表ではイネ胚乳に蓄積したTPC7の挙動およびTPC7ボディの特性について報告する。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top