日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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原始紅藻Cyanidium caldariumのlysyl oxidase likeタンパク質の性質
*諫山 昇長尾 遼榎並 勲鞆 達也
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p. 0907

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抄録
酸性温泉に生息する原始紅藻Cyanidium caldariumは、pH1~3の酸性下で生息するが、pH7以上の領域では死滅する。われわれは前年度までに、C. caldariumを中性で培養すると、動物に存在するlysyl oxidase(LOX)と相同性を持つタンパク質(lysyl oxidase likeタンパク質、LOL)が細胞外に大量に分泌されることを報告した。この分泌に関するpH依存性を調べた結果、中性ばかりではなく酸性pHにおいても微量ながらこのタンパク質が分泌されていることを確認した。相同性検索の結果、このタンパク質は光合成生物ではC.caldariumCyanidioschyzon merolaeにのみ存在する事が明らかになっている。このため C. merolaeを用い同様の実験を行ったがpH1~6の範囲で、細胞外にこのタンパク質を検出する事は出来なかった。動物細胞におけるLOXの役割の一つとして細胞膜の形成に関与していることが挙げられるがLOLタンパク質、C. caldariumにおける役割は不明である。そのため抗体を作製し、その局所部位を解析した結果、C. caldariumの細胞内画分においても抗体反応が検出された。現在、LOLの詳細な局所部位と機能に関する解析を進行中である。
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© 2011 日本植物生理学会
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