抄録
デンプンは植物の重要な貯蔵炭素形態であり、動物ではグリコーゲンが貯蔵形態である。グリコーゲン合成の開始機構は十分に明らかになっているが、植物のデンプン合成開始は大部分がまだ確定していない。デンプンは葉緑体で合成されるので、OsGGTの細胞内局在性を調べたところ、原形質膜に存在していることが明らかになった。OsGGTを過剰発現させた形質転換イネは野生型よりも1.3倍のデンプン含量の増加を示したが、OsGGTのノックアウト体はデンプンプールの完全な低下を示さなかった。完全冠水2日後、過剰発現イネは初めのデンプン含量の61%を示したが、野生型は34%の低下を示した。冠水4日目では、両植物で同量のデンプン含量を示した。これらの結果はOsGGTは冠水条件下でのデンプンプールの急速な欠如を積極的に防御することを示しているかもしれない。