日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体型CuZn-SODの起源とコケ・シダ植物での葉緑体型アイソフォームの分子進化
*金松 澄雄
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p. 0915

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抄録
酸素ストレスの上昇に対応して分子進化してきたSODは特徴的なアイソザイムおよびそれらのアイソフォームの存在パターンを示す。我々は先に、緑色植物系統でこれまでに明らかにされた最も古い葉緑体型 (chl) CuZn-SOD遺伝子を緑藻Spirogyraから単離し、またコケ植物(Pogonatum)やシダ植物(Equisetum)で2種類のchl CuZn-SODアイソフォーム遺伝子を見いだしている。最近のゲノム解析の結果、プラシノ藻のOstreococcusにもchl CuZn-SOD遺伝子が見いだされ、またヒメツリガネゴケにも2種のchl CuZn-SODアイソフォームの遺伝子が明らかにされたので、今回、chlとcytの2種のアイソザイムの分岐時期やアイソフォームの系統関係を検討した。OstreococcusSpirogyra のchl CuZn-SOD遺伝子は高い相同性を示すが、エクソン・イントロン構造には類似性は無い。Mesostigmaで見いだされた遺伝子断片はcyt 型であった。これらの生物を含めた系統解析により、chl SODとcyt SODにはsister-group 関係が示され、両アイソザイムは緑藻植物からストレプト植物が生じる前に分岐したことか示された。またコケ・シダ植物のchl SODのアイソフォームはそれぞれの種の分岐後の遺伝子重複に由来することが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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