抄録
これまでミオシンの運動機構は、筋肉のミオシンを中心に研究が進められてきた。しかし、近年の研究により、多種多様な非筋ミオシンは、まったく異なる性質をもつことが示された。それらの研究を通して、ミオシンの運動機構の理解は大きく進んだ。
モデル植物のシロイヌナズナには、クラスXIミオシンが13ある。我々は、それらの1つであるミオシンXI-Iの酵素活性を調べた。このミオシンXI-Iは、シロイヌナズ内での発現量がかなり高いが、性質は明らかになっていない。
ミオシンXI-Iのアクチン活性化ATP加水分解活性は低く(3 Pi/head/sec)、また、アクチン滑り速度も遅かった(モータードメインのみで0.02μm/sec)。しかし、アクチンとの親和性は、今まで測定された全てのミオシンの中で、最も高かった(Kapp = 0.5μM)。
また、変異体を用いた実験により、アクチンとの高い親和性にはloop 4が部分的に関わっていることがわかった。