日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの転写因子DREB2Aの環境ストレスに応答した安定化と活性化に関する解析
*森本 恭子溝井 順哉Qin Feng佐久間 洋篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0950

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抄録
シロイヌナズナの転写因子DREB2Aは、乾燥および高温ストレス応答の初期段階において、認識配列であるDREを介してそれぞれのストレスに特異的な下流遺伝子群の転写活性化にとって重要な役割を担っている。DREB2Aの活性は、転写段階に加え、翻訳後段階でも制御されており、通常条件ではDREB2A遺伝子を過剰発現させただけでは、標的遺伝子の発現は活性化されない。DREB2Aタンパク質には負の活性調節領域が存在し、この領域を欠失させたDREB2Aは恒常的な活性型になる。また、DREB2Aはユビキチン‐プロテアソームシステムにより通常条件下では不安定化されているが、恒常的な活性型DREB2Aは安定性が向上する。しかし、ストレス条件下で標的遺伝子の転写が活性化されるためには、DREB2Aが安定化するだけで十分なのか、別に活性化を受ける必要があるのか明らかになっていない。そこで、恒常的プロモーター下でDREB2Aを発現させた形質転換シロイヌナズナに対し、通常条件下でプロテアソーム阻害剤による処理を行ったところ、DREB2Aタンパク質の蓄積が確認されたが、標的遺伝子の転写誘導は見られなかった。よってストレス条件下でのDREB2Aによる転写活性化には、DREB2Aタンパク質の安定化に加え、それぞれのストレスに特異的な活性化が起きることが必要である可能性が考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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