抄録
前回の年会で、我々はCol-0 (セレン耐性)とWs-2(セレン感受性)との掛け合わせにより作出したRILを用いたQTL解析から、Col-0のセレン耐性遺伝子座が4番染色体に存在することを報告した。今回はその遺伝子座について解析結果について報告する。詳細なQTL解析を行ったところ、G3883-1.4から1H1L-1.4マーカー間の199個の遺伝子がセレン耐性に関与している可能性が示唆された。これらの遺伝子の機能から耐性関連遺伝子を選抜する事は困難だったため、シロイヌナズナESTデータを利用し、Col-0で発現し、Ws-2で発現していない遺伝子を選抜した。その結果、4つの遺伝子の発現がCol-0特異的である可能性が示唆された。これらの遺伝子についてCol-0、Ws-2のゲノムPCRを行ったところ、Ws-2においてAt4G19780とAt4G19790を含む領域が欠失していた。また、Ws-2では2つの遺伝子の隣にあるAt4G19770のプロモーター領域の650bp以降が置き換わっている事が明らかになった。以上の結果、Ws-2ではこれら3つの遺伝子発現が変化していると考えられたため、これらの遺伝子発現をCol-0とWs-2で比較した。その結果、At4G19780の発現はCol-0の地上部で確認できたが、Ws-2では見られなかった。一方、他の2つの遺伝子発現はいずれも確認できなかった。